●永峯さん デザイナー
組版のスペシャリスト
めちゃくちゃ器用。とにかく器用。
趣味で作るポーチや小物入れは、趣味の域を超えてる。
入社して半年、クリエイティブの現場を見てきて、モノが作り上げられるまでの過程を少しずつ覚えています。
今回のオシゴトコラムでは、その過程の制作部分をご紹介します!
最初に、印刷物の制作過程をサラッとご紹介。
企画立案
撮影・取材
編集(原稿作成・整理)
デザイン・組版
編集(校正)
印刷
納品
企画立案をして方向が決まると、撮影・取材を行い、原稿作成に取り掛かります。Vol.2と3で登場したラフ作りは原稿作成にあたります。原稿作成・整理が終わったら、制作部隊の登場。デザイン・組版作業です。制作部隊に作ってもらったページを校正し、修正が繰り返され、完璧な状態になったら印刷に回されて納品というゴールになります。
今回のテーマになる制作部分の「組版(くみはん)」は、印刷物の制作過程に欠かせない存在の1つです。
じゃあ、組版ってなんなの? 奥が深い組版について、池田が学んだ範囲のことをお話します!
組版(くみはん)は活字を「組」み合わせて、「版」を作ると書きます。
※版とは、印刷の元となるものを指します。
つまり、文字や図版などをページに配置して、印刷物を読みやすくするためのレイアウトに調整やフォントの選定などを行う作業のことです。
デザインと組版は同じものだと思われやすいのですが、重きを置いているところが違います。
デザインは紙面全体をデザインし、文字は紙面を構成する要素の1つとして扱います。直感的に働く印象に重きを置きます。一方で、組版は紙面に載せる文章をより読みやすくするために、どんな書体にするか、文字サイズはどうするか、字間や行間をどのくらい空けるか……など細かいルールを設定していきます。
組版の役割を分かりやすく説明するために、基本的な紙面の構成要素の説明をします。
紙面はそれぞれの要素の集まりで構成されています。
<紙面の構成要素>
・タイトル:題名
・キャッチコピー:紙面の興味を引くためのつかみ
・リード:本文の要約、導入
・見出し:記事内容を短い言葉でまとめたもの
・本文:紙面の主要となる文章
・キャプション:写真の内容の補足文
この2つは同じ文章です。AとB、どちらが見やすいですか?
Aの方はあまり体裁がよろしくないです。なぜなら組版のルールを守れていないから! AとBどちらもフォントや文字ピッチ、行間を設定していますが、この2つの違いは禁則処理をしているかどうかです。
禁則処理とは、「そこにその文字がきてはだめですよ」という特定のルールのことです。
\禁則処理のあれこれ/
〇行頭禁則(行頭にきてはいけないもの)
<例>
・句読点、ピリオド、カンマ:、。.,
・拗促音(小文字):ぁぃぅぇぉゃゅょっなど
・閉じ括弧:}」』】)
・感嘆符、疑問符:!?
・中黒、ハイフン、オンビキ:・-―
〇行末禁則(行末にきてはいけないもの)
<例>
・始まりの括弧:(「【
〇分離禁止
<例>
・拗促音(小文字):ぁぃぅぇぉゃゅょっなど
・ダーシ、3点リーダー:―…
・英単語、連数字:apple、10,000、3/4
〇追い込み
行頭に禁則文字がこないように「追い込み」をします。字間を詰めて、行末に禁則文字を入れ込む処理
〇追い出し
追い込みとは逆に、字間をあけることで次の行にもっていく処理
※書籍により設定は異なります。
以下、追い込みと追い出しの具体例です↓
ここまで組版の重要さを超アピールしてきましたが、私が組版という存在を知ったのは入社してからです。何も知らなかったときは、制作側のことや紙面の構成要素の役割すら、全く気にしていませんでした。今回のコラムを書くにあたって、組版のことを調べていくうちに組版は制作のカナメなのだと解釈しました。組版が綺麗であればあるほど、読者は情報をスムーズに取り入れることができ、内容に集中できます。組版をしなければ、紙面は成り立たず、かつ正確に行わないと情報は正しく伝わらないのです。
総括、「組版の質は書籍の質」
\今回、池田がスキルアップしたこと!/
今回は組版についてのお話でした。池田の解説はどうだったでしょうか……?
第一企画は書籍や冊子などの印刷物に多く携わっていますが、それら制作には組版が深く関わっています。印刷物の制作にはなくてはならない制作のカナメの組版。読者の皆さんに、正しい情報をより読みやすく伝わるにはどうするかを常に考え、時には悩みながら制作しています☆
次に本や雑誌を手に取る際には、いつもとは違う目線で見ていただけたらとても嬉しいです!